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GMMケースその後

Max Hata
7月15日の「外国法人による米国パートナシップ持分譲渡」というポスティングで、外国法人が米国パートナーシップ持分を譲渡・売却した際の米国税務上の扱いは国内での譲渡同様、パートナーシップ内の個々の資産の譲渡と見るのではなく、基本的にパートナシップ持分という個別のキャピタル資産を譲渡した扱いとなるというTax Courtの判例(「GMMケース」)に触れた。

その際に触れた通り、Tax Courtの議論の中で、キャピタルゲインはFDAPでないとした上で、米国源泉であればForce of Attraction、すなわちSection 864(c)(3)に基づき課税となるとしている部分がありとても不思議だった。もし米国源泉だったらFDAPでなくれもCapital Gainなんだからsection 864(c)(3)ではなくSection 864(c)(2)のAsset TestやActivities TestでECIかどうかを決定するんじゃないかと思ったからだ。この点に関してTax Courtは数日後にオピニオンを修正し、もし米国源泉だったらSection 864(c)(2)で考えるべきと訂正している。これで話しがスッキリした。

このGAAケース、その判決にIRSが不本意ながらも従う(Acquiesce)のか、それとも控訴に持ち込むのか注目されているけど、未だにIRSは態度を明確にしていない。大方の予想ではIRSは控訴するのではないかと言われているようだけど、法的に余りにサポートがない点はTax Courtの議論でも、IRSの主張には何の法的な根拠ナシとバッサリと切られていることからも明らか。また、Revenue Ruling 91-32にしてもその発表以来その主張は問題とされてきているので、ここはあきらめてSection 741そのものの議会による改正に掛けた方がいいのではないかと思う。

Tax Reformの提案から消費地課税が取り下げられた今、法人税率を20%とかに下げるとなると他に幅広い財源が必要となる。その中のひとつとしてSection 741の改正により実質Revenue Rulingの条文化が実行されるのではないかという憶測もある。いくらの歳入になるものか知らないけど、チリも積もれば的にひとつの財源として目を付けられる可能性はある。Section 741を変えれば、外国法人には不利だけど、法的な不確実性はほぼなくなるのでGMMケースのような争点はなくなる。

GAAケースに準じてパートナシップ持分譲渡からのキャピタルゲインを非課税とする扱いは、Tax Courtの判例にもある通り、キャピタルゲインが外国法人の米国オフィス(パートナーシップを通じたみなし事務所を含む)に帰属しないというのが要件になるが、多くの外国法人による米国パートナーシップ投資はGAA同様のパターンが多いはずで、Blocker Corporationを経由しないで米国パススルーに投資しているようなケースでは法的な改正が実際に行われるまでは既に納付済みの法人税の還付請求の機会も多いだろう。

ちなみに聞いた話しだと、このGAAケース、裁判所で争われてから先日Tax Courtが判決を出すまで3年も掛かったらしい。オピニオン自体は結構短くてどちらかと言うとシンプルだったのでどうしてそんなに時間が掛かったのか少し不思議。
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