前回のポスティングは、クロスボーダー課税シリーズを一休みして、税制改正可決一周年記念特集となったけど、再びBEAT財務省規則案に戻る。前々回、BEATの対象となる納税者の定義、特にAggregationルールに基づくグループ合算規定に触れた。
その際、Base Erosion%基準に関して、グループ内で基本的に消去するものはない、って書いたけど、厳密に言うと、Aggregationルール下、規則案で「一人の納税者」と取り扱われるグループ内、すなわちグループ米国法人と支店申告をしている外国法人間の支払いに基づく控除が分母に含まれる場合には、当該控除額は、内部取引として消去され、その分、分母が減ることになる。分母は大きければ大きいほどいい訳だから、こんな金額があると損。分子のBase Erosion Benefitsに関しては、Base Erosion Benefitsの大元となるBase Erosion Paymentはそもそも外国関連者への支出に限定され、しかも規則案で米国支店が申告所得の一部に取り込んでいる金額に関しては、仮にテクニカルに外国関連者への支払いでもBase Erosion Paymentとはならない点が明記されているので、Aggregationルールで消去の対象となるものはないはず。
で、今回はAggregationルールそのものではないけど、売上基準とBase Erosion%基準適用時のパートナーシップの取り扱いに関して。
パートナーシップを持つ法人が、パートナーシップ項目をどのように取り扱うか、っていう点は法文には明記されておらず、財務省によるガイダンスが待たれていたが、規則案ではパートナーとパートナーシップを合体して考える、所謂Aggregateコンセプト(BEATのAggregationルールとは関係ない用語なのでご注意)に基づく、合理的なアプローチが規定されている。
パートナーシップの取り扱いは、売上基準とBase Erosion%基準で、そのアプローチが微妙に異なるので注意。まず、売上基準目的では、パートナーシップの売上をパートナーシップ合意書に基づき各パートナーに配賦し、法人パートナーは当金額を自分の売上と合算して、売上基準を適用することになる。もちろん、法人がAggregationルールに基づて合算対象グループに属している場合には、当法人はパートナーシップの持分相当売上を取り込んだ上、更にグループ合算規定を適用することとなる。また、他のAggregationルールにかかわる検討と同様、仮に法人パートナーが取り込むパートナーシップの売上が、当法人パートナーのAggregationルール上の合算グループに対するものであれば、当売上は消去されることになるはず。パートナーシップ売上の各パートナーへの配賦額の決定法だけど、配賦に実質的な経済効果が認められる(704(b)の安全ガイドライン基準)、または安全ガイドラインから逸脱するまたはターゲットAllocationのように最初から安全ガイドラインを適用するつもりがないケースでPIPに準じる限り、パートナーシップ合意書に基づく配賦となる。滅多にないけど、パートナーシップ合意書の配賦に問題がある場合には、PIPに準じる配賦が強要される。ネット損益を常に50・50等で配賦するようなプレーンなケースは分かり易いけど、Special Allocationとかが存在するケースでは、どの売上がどの配賦に帰属するのか、特定した上で、売上そのものの配賦額を決定する必要がある。
次にBase Erosion%だけど、パートナーシップによる支出がBase Erosion Paymentに当るかどうかの判断は、パートナーシップ側の各支出をパートナーシップ合意書に基づき各パートナーに配賦し、当金額をあたかもパートナーが直接支払っているかのように取り扱い、各パートナーにとってBase Erosion Paymentになるかどうか、すなわち、支払先が「パートナーから見て」外国関連者に当るかどうかを基に行う、とされる。え~、ってことはパートナーシップが支払う全項目に関してその相手先を教えてもらい、それが法人パートナーの外国関連者かどうか調べないとBase Erosion Paymentの有無すら特定できないってこと?まあ、テクニカルにはそうだろうけど、実務的には大概のケースで、受け手となる外国関連者で、米国法人が投資しているパートナーシップから受け取りがあれば、それはグループとしてその存在を認知しているはず、と考えられるよね。
Base Erosion%の分母となる控除総額に関しても、法人パートナーはパートナーシップから持分相当を取り込むことができる。ここは、財務省規則案の「Other Relevant Items」の部分で、控除額に関しても取り込むこと、と記載されているので、BEATのパートナーシップに対する原則アプローチとなるAggregateコンセプトの下、分母にも持分相当額を取り込むということだろう。
Base Erosion%基準の適用時、法人パートナーがパートナーシップからBase Erosion Paymentを取り込むかどうかに関して、マイナーな少額免除制度が規定されている。免除規定によると、パートナーの持分が、資本、利益、配賦比率全てに関して10%未満で、かつパートナーの課税年度末時点でパートナーシップ持分の時価が$25M未満の場合は、パートナーシップから取り込みを行う必要はないとされている。このBase Erosion Paymentにかかわる少額持分免除は売上基準には適用がないように読める。また、$25M未満かどうかは時価ベースの判断となるため、厳密には毎期末、パートナシップ持分を時価評価する必要が生じるが、当評価は何らかの合理的な算定法を適用して判断してOKと規定されているので、必ずしも毎期高価な時価評価レポートを用意する必要はなさそうだ。
と、クリスマスイブも早くも午後になってきて、エンパイアステートビルもクリスマス色にライトアップされてきたので、今日はこの辺で。NYCのクリスマスは街中がいい感じ。クリスマスはやっぱり寒い方が感じでるね。
その際、Base Erosion%基準に関して、グループ内で基本的に消去するものはない、って書いたけど、厳密に言うと、Aggregationルール下、規則案で「一人の納税者」と取り扱われるグループ内、すなわちグループ米国法人と支店申告をしている外国法人間の支払いに基づく控除が分母に含まれる場合には、当該控除額は、内部取引として消去され、その分、分母が減ることになる。分母は大きければ大きいほどいい訳だから、こんな金額があると損。分子のBase Erosion Benefitsに関しては、Base Erosion Benefitsの大元となるBase Erosion Paymentはそもそも外国関連者への支出に限定され、しかも規則案で米国支店が申告所得の一部に取り込んでいる金額に関しては、仮にテクニカルに外国関連者への支払いでもBase Erosion Paymentとはならない点が明記されているので、Aggregationルールで消去の対象となるものはないはず。
で、今回はAggregationルールそのものではないけど、売上基準とBase Erosion%基準適用時のパートナーシップの取り扱いに関して。
パートナーシップを持つ法人が、パートナーシップ項目をどのように取り扱うか、っていう点は法文には明記されておらず、財務省によるガイダンスが待たれていたが、規則案ではパートナーとパートナーシップを合体して考える、所謂Aggregateコンセプト(BEATのAggregationルールとは関係ない用語なのでご注意)に基づく、合理的なアプローチが規定されている。
パートナーシップの取り扱いは、売上基準とBase Erosion%基準で、そのアプローチが微妙に異なるので注意。まず、売上基準目的では、パートナーシップの売上をパートナーシップ合意書に基づき各パートナーに配賦し、法人パートナーは当金額を自分の売上と合算して、売上基準を適用することになる。もちろん、法人がAggregationルールに基づて合算対象グループに属している場合には、当法人はパートナーシップの持分相当売上を取り込んだ上、更にグループ合算規定を適用することとなる。また、他のAggregationルールにかかわる検討と同様、仮に法人パートナーが取り込むパートナーシップの売上が、当法人パートナーのAggregationルール上の合算グループに対するものであれば、当売上は消去されることになるはず。パートナーシップ売上の各パートナーへの配賦額の決定法だけど、配賦に実質的な経済効果が認められる(704(b)の安全ガイドライン基準)、または安全ガイドラインから逸脱するまたはターゲットAllocationのように最初から安全ガイドラインを適用するつもりがないケースでPIPに準じる限り、パートナーシップ合意書に基づく配賦となる。滅多にないけど、パートナーシップ合意書の配賦に問題がある場合には、PIPに準じる配賦が強要される。ネット損益を常に50・50等で配賦するようなプレーンなケースは分かり易いけど、Special Allocationとかが存在するケースでは、どの売上がどの配賦に帰属するのか、特定した上で、売上そのものの配賦額を決定する必要がある。
次にBase Erosion%だけど、パートナーシップによる支出がBase Erosion Paymentに当るかどうかの判断は、パートナーシップ側の各支出をパートナーシップ合意書に基づき各パートナーに配賦し、当金額をあたかもパートナーが直接支払っているかのように取り扱い、各パートナーにとってBase Erosion Paymentになるかどうか、すなわち、支払先が「パートナーから見て」外国関連者に当るかどうかを基に行う、とされる。え~、ってことはパートナーシップが支払う全項目に関してその相手先を教えてもらい、それが法人パートナーの外国関連者かどうか調べないとBase Erosion Paymentの有無すら特定できないってこと?まあ、テクニカルにはそうだろうけど、実務的には大概のケースで、受け手となる外国関連者で、米国法人が投資しているパートナーシップから受け取りがあれば、それはグループとしてその存在を認知しているはず、と考えられるよね。
Base Erosion%の分母となる控除総額に関しても、法人パートナーはパートナーシップから持分相当を取り込むことができる。ここは、財務省規則案の「Other Relevant Items」の部分で、控除額に関しても取り込むこと、と記載されているので、BEATのパートナーシップに対する原則アプローチとなるAggregateコンセプトの下、分母にも持分相当額を取り込むということだろう。
Base Erosion%基準の適用時、法人パートナーがパートナーシップからBase Erosion Paymentを取り込むかどうかに関して、マイナーな少額免除制度が規定されている。免除規定によると、パートナーの持分が、資本、利益、配賦比率全てに関して10%未満で、かつパートナーの課税年度末時点でパートナーシップ持分の時価が$25M未満の場合は、パートナーシップから取り込みを行う必要はないとされている。このBase Erosion Paymentにかかわる少額持分免除は売上基準には適用がないように読める。また、$25M未満かどうかは時価ベースの判断となるため、厳密には毎期末、パートナシップ持分を時価評価する必要が生じるが、当評価は何らかの合理的な算定法を適用して判断してOKと規定されているので、必ずしも毎期高価な時価評価レポートを用意する必要はなさそうだ。
と、クリスマスイブも早くも午後になってきて、エンパイアステートビルもクリスマス色にライトアップされてきたので、今日はこの辺で。NYCのクリスマスは街中がいい感じ。クリスマスはやっぱり寒い方が感じでるね。
コメントを追加