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アメリカ人の家の嗜好に変化?「ハーベスト仕様」住宅とは?

David Lee


ある消費者動向のエキスパートが先日のインターナショナルビルダーショーで、アメリカ人の家の好みに変化が見られるという話をしていました。例えば数年前までは映画鑑賞用の「シアタールーム」や「エクササイズルーム」はその住宅トレンドの中心でしたが、今は急速にそちらの需要が減少しています。
この先行き不透明な時代で人々の関心はラグジュエリーからコストエフェクティブに移ってきており、それが部屋単位の思考から「グリーン」を中心とするスペース単位にに変化しつつあります。キーはその価格と消費者のウオンツとのバランスです。多くの人は現在の家よりも小さなサイズを選択していながらも、壁で仕切られた家よりも空間を重視するレイアウトにシフトしています。これをいうならば、家の「エンターテーメント」仕様からファミリー同士のコミュニケーションを大事とする「ハーベスト」仕様になってきているというわけです。AVID Ratingというサーベイ会社がこれからの住宅に欲しいフューチャー(特徴)は何かというサーベイを取った結果が以下です。(私の見解とレーティングもつけています。賛同度が高いものほど10点に近いです)


1. Large kitchens, with an island. アイランドがついた大きなキッチン  
(デービッドの見解)確かにこれはマストですね。オープンキッチンとは書いてませんが、オープンであることが絶対必要です。家にお金をかけるならばここ。グラナイトカウンタートップ、キャビネット、床の3点が大事ですね。10点

2. Energy-efficient appliances エナジー節約のアプライアンス 
(デービッドの見解) これを無視したらこれからの時代はいきることはできません。節電効果の高い冷蔵庫、節水タイプの洗濯機、ディッシュワッシャー、トイレ、シャワーヘッドなどの電化製品は当然のこと、気密効果、エネルギー効果が高く、防音効果を考えると窓のアップグレードなしではありえません。 9点

3. Home office/study room. ホームオフィス・スタディルーム 
(デービッドの見解) もう今の新築では「フォーマルダイニングルーム」という空間は、設計士さえもその存在を忘れている一昔前のスタイルですね。その代わり昔必要がなく、今は必要なのがこのホームオフィス空間です。これからは仕事は会社で9時から5時にするものという概念がどんどんなくなっていき、インターネットがあるのでわざわざ渋滞に巻き込まれて会社に行く必要がなくなってくるわけです。それこそガソリンの無駄使いと大気汚染をやっているだけです。 8点

4. Main-floor master suite. 一階にあるマスターベッドスイート 
(デービッドの見解) 私が過去9年間数多くのお客様に家を見せてきた経験からいえば、この需要は確かにあります。ただ両親が1階部分に寝て、子供部屋だけが2階にあるというレイアウトには賛成しかねます。両親と子供部屋は同じ階にあることが私の中のこだわりでもあり、また親の階がと子供の階を分けることで子供とのコミュニケーションが薄れ、管理が行き届きにくくなってしまいます。しかし、ゲストの寝室やグランドペアレンツの寝室としては1階に一つ寝室はあるべきだと思います。 6点

5. Outdoor living room アウトドアのリビングスペース 
(デービッドの見解) これはですねー、私が昔から密かに暖めてきたアイデアなんです。個人的な趣味だとは思うんですが、アウトドアキッチンとあわせて絶対に欲しい空間です。今ではカナダまでこの空間がプピュらーになっているらしいです。そのうちにアウトドアベッドルームまでつくってしまおうか。10点

6. Master suite soaker tubs.マスタースイートの大型ソーキングバスタブ 
(デービッドの見解)これは数年前の家のエンターテーメント化の生き残りの感があります。たしかに大型のジェットバスをつけてはいると気持ちいいとは思いますが、こちらのバスは日本の追い炊きができるシステムと較べるとエコロジカルではないのが時代を反映しているとは思いにくい。ただこのサーベイが何が欲しいかという質問なので、その答えとしてはやはりこのようにリラックスできる空間が必要なんだろうと思う。ただ個人的には風呂場は日本式が最高ですね。やはり眺めを見ながら‘ヒノキのお風呂か岩風呂に入りながら、洗い場があるという空間。これなら10点ですが、ただの大型タブだけでは7点ですね。

7. Stone and brick exteriors.自然岩かレンガの外壁 
(デービッドの見解) これはすでに10年ほど前からのトレンドですが、今は昔と違い岩やレンガそのものだけで作るのではなく、2X4でつくった外壁にアクセントで用いられるやり方だが、充分その味はでていますし、現代建築と自然素材の重厚さや素朴さがうまく合わさっていて好きですね。古い家のリモデルをする時のやり方として取り入れると家の外観がメークオーバーができ、費用対効果が高いです。9点

8. Community landscaping, コミュニティのランドスケープ 
(デービッドの見解) ここでいうランドスケープとはただ庭をさしているのではなく、その住宅のある環境全体の整備としてのランドスケープをさしています。つまり共有の庭、遊歩道、プールなどがよいデザインでよく管理されているところに住むとそのコミュニティーの一体感が生まれ、価値が上がります。私の住むアーバインという街はその典型都市でして100%がPlanned Developmentでできた街です。そのために街全体が整備され、結果この住宅価格の下落も他の街と較べると最小限の下落にとどまっています。これからの街造りには絶対に必要な発想だと思うので9点です。

9. Two-car garages 2台分のガレージスペース 
(デービッドの意見) お客さまが家を探される際に見落としかちなのがガレージに入れる車の台数とそのロケーション。たとえば2ベッドのコンドでもガレージは理想的には2台、しかもダイレクトアクセスならば最高ですね。わたしのお客様へのアドバイスは予算が許すのであればダイレクトアクセスがある2台ガレージを選んでくださいといいます。使い勝手がいいのもありますが、売るときに売りやすいということも大事なのです。だけどこれはこれから必要な特徴というカテゴリーではないような気がする。よって8点。

全体意見としての私のレーティングは8点。やはり時代と共に住宅も変化し、価格も共に流れていきます。やはり最終的にはバランスの問題ということになります。どのエリア?どのロケーション?どういったレイアウト?アップグレードの度合い?これらがそこそこの家であれば今でも住宅はホットケーキのごとく売れています。
最後に今年もよろしくお願いいたします。

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