エバンストンの家を探すのに使ったエージェントは、四十代の男性だった。
職場の同僚に紹介されたエージェントにコンタクトしてみると、彼女はエバンストンよりもっと北の(値段の高い)地域が専門だという。彼女に紹介されたのがこの男性だった。
不動産エージェントには景気のよいときに手っ取り早い小遣い稼ぎのつもりでこの業界に入るパートの主婦みたいな人も多いが、彼は若い頃からフルタイムで不動産を扱ってきたという。実はわたしがコンタクトしたときには大手不動産会社のブランチオフィスのマネージャーで、てっきり彼の下で働く新入りに投げられるのかと思ったら、そうではなく最後まで彼自身がわたしに付き合ってくれた。(二軒目の家のときには、わりと経験豊富なエージェントを紹介されたのに、いつの間にか彼女の下で働く新入りに投げられていた。)
最近は本当に買い手がお金を払って雇うbuyer’s agentというものもあるらしいが、大部分の地域では売り手がsellerとbuyerの両方のエージェントの費用を払うのがまだまだ一般的だろう。だから自分が買い手である場合は、どうせエージェントの費用は払う必要がないから、エージェントは雇った方が楽だと思う。不動産売買というのは地域ごとに本当に異なった慣習があるので、それをエージェントに教えてもらうだけでも値打ちがあると思う。
インターネットでMultiple Listing Serviceの物件を見ることができるようになったため、とくに自分の探したい地域がはっきりしている場合は、エージェントに物件をリストアップしてもらう必要はなくなった。だからわたしがエージェントに期待したのは、家を見に行くアポを取ってもらうことと、ロックボックスの鍵を開けてもらうことくらい。わたしのエージェントは、指定した地域にわたしの価格帯にあう物件が出るたびにメールを送ってくれたが、一般向けのインターネットサイトに出るより一日、二日早いかという程度で、それに不動産バブルの最中といっても、シカゴはさすがに中西部のせいか、マーケットに出て一日で複数のオファーが出るという過熱状態ではなかったから、それほど違いがあるとは思えなかった。それにこちらが価格帯を指定すると、本当にその価格帯のものしか送ってこない。うちみたいに価格破壊を熱望する同居人を抱えている場合には、価格帯にはあまり意味がなかったのだけど。
しかし、エージェントというのはどうもニュートラルな感じの物件が好きなようだ。数限りなく見た物件の中で、エージェントが「これなら売るときも売りやすいと思うよ。」とそれとなく勧めてくるのは、可もなく不可もなくといった感じのものばかり。しかし、買う前から売るときのことを心配してくれるというのも、考えてみれば妙なものかもしれない。
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