住宅購入を考える前に

家を買うと言う事が自分に取ってどういう意味を持つか、というのは人それぞれでしょう。「自分の城」「家族団欒(だんらん)場所」「家賃を払うくらいだったら買ったほうが得」「将来値上がりしたら儲かる」などなど・・・自分の「思い入れ」が強いと、物を買うときのこだわりも強くなる訳ですが、こと「家」に関してはそれが大きく出てくるのではないでしょうか?しかも家は普通の人に取ってはおそらく一番高い買い物だと思います。ですから、ちょっとの「こだわり」の差で大きく出費が変わってきます。得をする場合もあるでしょうが、損をして口惜しい思いをする事もあるかもしれません。自分がどういう「思い入れ」で家を買おうとしているのか、じっくり考えてから行動を始めるといいでしょう。

家の購入よりもまず先に・・・

家を買うより前に、家を買おうと思い始めるより前に、考えておくべきことがあります。1つは家計のやりくりです。今の収入は安定していますか?支出はどうでしょう?当たり前の事ですが、収入よりも支出が多い状態では、住宅購入は難しいと言えます。現在の支出が多いと言う事は、それだけ余裕がないわけですから、住宅購入資金だけでなく、購入した後の支出や、長期のローン返済を考えると責任ある返済ができないかもしれない訳です。 もちろん、収入や支出の内容によって「住宅を購入したほうが節税できる」「借りるより買ったほうが長期的にみれば得」という言い訳もあるでしょう。例えば今のアパートは都会にあり高い家賃だが、買うなら少し郊外にするので、ローンは家賃よりも安いから大丈夫、というものです。この手のロジックはその人の「消費癖(あえて浪費癖とまでは言わないでおきましょう)」を隠すための手段でしかありません。都会の交通便利なところに住んでいる人が家を買うからといって郊外の小さな家を買うでしょうか?本当に郊外に住んでもいいと思っているなら、郊外のアパートに住んで浮いた家賃を貯金するところから始めるべきでしょう。 もう1つは自分の人生プランと家がどのように関係するか、ということです。例えば、ここアメリカに住んでいる日本人なら、将来に渡ってアメリカに住みつづけるのか、あるいは日本に帰るのか、といったことは家を買うか買わないか、買うとすればどのような家にするか、ということに大きく影響します。家は一度購入すると、(アパートを借りるのと比べて)ある程度長期間保有しないと、そのメリットが出てきません。ですから、すぐに引っ越す可能性がある場合は、家の買い方も変わってくるでしょう。また、同居家族が増えるかもしれない(子供が生まれたり、親と一緒に住むことにしたり)、あるいは減るかもしれない(子供が巣立っていく)なども住宅購入前から考えないといけないでしょう。 これらのことを考えて整理してから住宅購入を考え始めたれば、そのときの考えや衝動に左右されず、賢い住宅購入ができます。家計もしっかりしていて、今後の人生プランがはっきりしたら、「家を買うか考える」準備ができたと言えます。この時点では、家を買うかどうか、考えるだけです。もし、住宅購入が家計と人生プランに合わなければ、今は買わない、という結論になることもあるでしょう。

購入の目的

さて、上記の「家計」と「人生プラン」を元に、家を買おうか考え始めましょう。家を買う目的は「住むため」の一言で言い表されるとは限りません。例えば家計をしっかり見直した結果、家を購入したほうが経済的なメリットがあると分かることもあるでしょう。また、子供が増えたり、学校に行くなど、家族のことを考えて家を持ちたい場合もあるでしょう。あるいは一旦、小さ目の家を買っておいて、家族が増えたら大きな家を買い、1件目は賃貸物件として人に貸す、という投資効果を考えて買う場合もありえます。いずれの場合でも、「なぜ(借りるのではなく)買うか」という目的をはっきりさせましょう。いくつか制限があるものの、借家であってもアパートから一軒家まで、同じ地区に似たような物件が見つかる可能性もあるわけですから、借りることと買うことは何が違い、自分にとってメリットがあるかを見極める必要があります。 この「目的」を第一に決めることはとても大切です。自分の理想とする広さで、新築(もしくはリフォーム済み)で、場所も良くて、作りもしっかりしていて、しかも手ごろな値段で、将来値上がりが確実で・・・などという、完璧な物件はありません。気に入った家だけど、気に入らない個所もある、それが家です。目的をしっかり決めることで、どういう条件が一番大切かはっきりし、家を購入する時に「邪念」が入ってくることがなくなります。例えば、良さそうな物件が2つあって、1つは1万ドル高いけど素敵な暖炉がついている、もう一つは暖炉はないけどその分安い、としましょう。もし、家の「目的」が家族団欒の場、暖かいぬくもりのあるリビングでくつろぐ、などであれば、1万ドル出しても暖炉がある家の価値はあるかもしれません。しかし、目的が「経済的にメリットがある家に住み、引っ越した後は人に貸して投資物件として保有する」であれば、1万ドル分の価値を見出すことは難しいでしょう。 つまり、購入の目的を決めることは、その目的にふさわしい家を見つけるための指針を決めることです。指針がしっかりしていれば、予算、場所、広さ、設備など、家を選ぶ上で重要な要素をその時の気分に流されることなく、客観的に選択していくことができます。