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リファイナンスの利益の計算

Cheeさんのブログにも出てきたように住宅金利が下がり続け、色んな所で(また!)リファイナンスが話題に上ってきている。

いつリファイナンスをするのが賢いかは、「1%(昔は2%だった)差ができるまで待て」「月の支払い額の差でRefinance Costsを2年内に回収できるならGO!」といった事が言われているが、こういったルールは個人事情に適用しないこともある。

今回は、例を通してリファイナンスのコスト・利益の計算方法にフォーカス。

一般にアメリカ人は必要以上に頻繁にリファイナンスする傾向があるらしい。半年ごとにリファイナンスしている人の話も聞いたことがある。金利が下がった時は、「今だけお得!期間限定特別セール」みたいな特殊な雰囲気を醸し出すんじゃないかと思う。銀行やブローカーは、手数料を落としてもらえば儲かるから、これまた頻繁なリファイナンスを奨励する傾向があり、金融機関サイトのRefinance Calculatorにも似たようなバイアスあったりするので要注意(ここここで話題になっている)。

ネット上のRefinance Calculatorの中で、これは使えるな思ったのは、NoloMortgage ProfessorのCalculator。下記の計算例も、この二つのCalculatorで確認できる。

ローン借り換えの例:『ちょうど3年前に15年Fixed Rate 4.25%で300Kを借りたとする(旧ローン)。このローンの今の残高$254,228.72を、15年Fix Rate2.875%でリファイナンスすることを検討してみる(新ローン)。Closing Fee$2800はキャッシュで払い、その家にはこれから15年以上住むと仮定。』

旧ローンの毎月の支払額は$2256.84。新ローンは$1740.41。差額は$516.43。

従来のBreak-Even Analysisだと、$2800÷$516.43≒5.42で、Closing Feeは6か月目の差額で回収できる計算。

もし、リファイナンスの主目的が、月の支払額を減らして家計に余裕を持たせることならば、この差額は十分満足かもしれない。しかし、リファイナンスの主目的が、ローンの利息総額を減らすことだとしたら、ここはもう少し突っ込んで計算してみたい。

上のBreak-Even Analysisには二つ問題がある。

まず、リファイナンスはAmortization Scheduleを再スタートさせるので、上の$516.43の差額というのは、元本返済額の差も入っている。元本は遅かれ早かれ返すものなので、リファイナンスの利益にフォーカスするなら、支払う利息額の差だけで考えるべき。また、Closing Feeは所得控除できないが、ローン返済額の利息分は所得控除できるので、実際に払うのは利息額×(1-所得税率)ということになる。州所得税で利息額を控除できる場合は、所得税率=連邦ブラケット+州税ブラケット、ここでは所得税率30%と仮定して続ける。

ここからの計算は、上記のRefinance Calculatorかエクセルが必要だが、税金控除を考慮し、利息額の差のみでClosing Fee$2800を回収するには、この場合15か月かかる。単純なBreak-Even Analysisが6か月だったのに比べると、意外と長い。

こういったBreak-Even Analysisは当座の採算の大まかな目安にはなるが、この際、リファイナンスの総合した利益・コストも知っておきたいので、さらに計算を続ける。

旧ローンの支払いを続けた場合、今からローン終了までの間に払う利息総額(一般にFinancing Costと呼ばれる)は$70,755.05。これに対し、新ローンの利息総額は$59,045.83。それぞれに所得控除を計算に入れ(×0.7)、さらに新旧のローンの利息総額の差額を計算して見ると$8196.45。それからClosing Fee$2,800を引いた残り、$5,396.45がこのリファイナンスの本当の利益(Net Benefit)になる。

金利差が1%以上なのに、この利益は「意外に少ない」というのが私の最初の感想。種明かしがあるとすると、これは15年ローンなので、計算があまり金利に敏感に反応しない。30年ローンなら、小さな金利差でも利息総額は大きく動く。

また、このリファイナンスは、返済期間をもう3年引き延ばすので、それが利息総額を増やす。例えば、15年ローンの代わりに、10年ローンに借り換えると、月の支払額は減らないが、利息総額はうんと減ることになる。

さらに、この計算は今の$1と15年後の$1を同様に扱っている。本当は、月の返済額の差額を貯金するなり、投資運用するなりした時の利回りをディスカウント率に使って、現在割引額(Present Discounted Value, PDV or PV)を計算する必要がある。でも、話が長くなるので、今回はこの計算はパスするが、一般にディスカウント率が高い方が、支払額を積極的に減らすリファイナンスの利益が上がる。

ただ、いくら厳密に計算してみても、将来は完全には分からない。リファイナンス後に急にに引っ越しすることになったり、また金利ががくっと下がってきたりとかね(あと税率や家計事情が変わったり)。だから、こういった数字もあくまで大まかな目安でしかない。

リファイナンスでできるだけ低金利をロックインすることの御利益は、ローン期間に渡って収穫されるので、リファイナンス後にすぐに家を売ったり、またすぐにリファイナンスしたりする場合は、それを収穫できず、リファイナンス時に払うClosing Feeが無駄になる。そういう展開が分かっている状況でも、どうしてもリファイナンスしたいということならば、以前に掲示板でharukaさんが言ってらしたNo-Cost Refinancing (ネガティブ・ポイント、つまり高めの金利を受け入れることで、Closing Feeを賄う)も方法かもしれない(説明はこちらにも)。金利は多少高めで、ローンの利息総額も多少高くなるが、それをフルに払う前に家の売却や借り換えでをそのローンを手放してしまうからという理屈。

コメント

ここまで細かく損益分岐点を計算する人もなかなかいないですよね。考え始めれば、ローン利息控除の効果も標準控除を超えた分だけ含めるとか、ポイントを払った場合はリファイナンスの場合はローン期間で割らなければならないとか、色々あって切りがないですね。

「いくら厳密に計算してみても、将来は完全には分からない」の部分がまさにこういった計算の難しさをまとめてますね。おおざっぱに計算して、後は「えいやっ」と決めてしまうことも時には必要かも知れません。

やっぱりそうですか?(笑)

確かに、細かいこと色々気にしすぎると、重要なことを見失ったりしますよね。ずばり、私の陥りやすいパターンです。

エクセルで慎重にはじき出した数より、封筒の裏や紙ナプキンにこちょっと書いた計算の方が、実は真実を突いていたなんてことは、よくあると思います。

さすがです~!
ほんと単純には計算できないものなのですね。私としては心理的に、利息総額が減る方がうれしいです。ってことは、とりあえず今のまま払い続けて、金利がもっと下がったら15年にするってのがいいのかな?なんて思いました。
家を買うとファイナンスのオプションが広がり、またいろいろ悩みそうです。笑

そう、銀行やブローカーは、ぱっと見の計算だけでリファイナンスを勧めてくるんですが、利息総額を考えると、ぱっと見の計算だけでは得かどうかは分からないこともあるんですよね。

30年ローンで始めて、こまめに繰り上げ返済しながら、利子が下がった時点で15年ローンに切り替えというのは、美味しいパターンじゃないかと思います。

改築頑張って下さい。仕上がりが楽しみです。

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