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Two Income Trap

Kay
Two income trapという、FI planningのCheeさんおすすめの本を読んだ。


どうしてミドルクラス(中間層)で、共稼ぎの夫婦が破産するか、という話である。書かれたのは2004年。今までの「アメリカ人は贅沢に暮らしていて貯金してないからだ」という、一般的な意見からはちょっと違った観点から書かれている。著者はこの前マサチューセッツ州senator(上院議員?)になったElizabeth Warrenと彼女の娘のAmelia Warren Tyagi
お母さんは元ハーバード・ロースクールの教授でお嬢さんはMBAを持っている、というトーンでもない母娘のコンビなのであった。ちなみに、女二人で書いているので、学術的でありながら、やや感情に訴えるところもある(笑) まあ学術的だけだったら、一般人は読まないと思うけどね。

さて。
著者の意見によると、共稼ぎ中間層夫婦が破産する理由は、高級服を買っているわけではなく、高級車を購入しているわけでも無く、豪華バケーションをしているからでもない。そういうイザという時にすぐ削減できる事にお金を使っている分には、問題ないらしい。最大の理由は一つ。

子供である。

アメリカ大都市の公立学校は、教育がきちんとしていない。まー、荒れている学校が多いわけである。そんなところに子供を入れた時にはちゃんとした大学に入れないので、結局子供はきちんとした職に就けないということで、ミドルクラスから転落することになる。それから、子供を安全な所で育てたいというのも親心。きちんとした学校に子供を入れる手段はただ一つ、きちんとした公立の学校を持ち、犯罪の少ない郊外に引っ越すこと。だが、そういうところに引っ越そうにもアパートを借りるのは非常に難しく、結論として、家を購入するということになる。子供をもつ親全員が同じ事を考えるわけで、そのためよい学校の学区は家の値段がうなぎ上りする。学区が全てを左右する例として、ある大学が、大学の周りの犯罪を減らすために、周辺の公立学校をサポートすることにしたらしい。たったの5年でその辺の住宅の金額はボロボロで全面改装が必要なのにうなぎ上りになり、犯罪減少。子を思う親は必死で家を見つけて購入する。その時当然二人分の収入を合わせて家を購入し、ローンを組む。要するに限界まで頑張るのである。

2004年はこの前の経済危機の4年前、なんと本によると、クレジットヒストリーが良くてプライムローンを組めた人でも、知らないでサブプライムローンを騙されて組んだ人もいたらしい。これにはびっくりしたが。で、子供のため郊外に家を購入し、でも仕事場は都市の真ん中だったりするので、片道1時間ぐらいの通勤が発生する。ちなみに車は子供の安全のために大きい物を購入する。今まで全然気づかなかったが、チャイルドシートはかーなり大きいので、後部座席にチャイルドシート2つはともかく、3つ載せることは不可能。したがって、子供が3人いる家族は5人のりよりも、普通の車よりも大きい車を購入しなければならない。ほとんどバス?

共働きなので、子供はデイケアに預ける。子を思う親は子供をKindergarten(幼稚園)以前のプレスクールに入れる。。。。らしい(この辺のシステム私にはやや不明) そのプレスクールの金額もバカにならない。ついでにスポーツのクラブにも入れて送り迎えしなければならない。そして大学に入れるためには、ものすごい資金が必要である。子を思う親はそれにも必死で収入の限界まで頑張るのである。

そして、そんな時に親の片一方が解雇されたりする。共働きの場合、旦那さん、あるいは奥さんの一方が解雇されたりする確率は単純に考えて2倍。片一方だけが働いていて解雇された場合はもういっぽう(働いていない奥さんとか)が働きにでて家計をささえたりして、実は余力があるが、両方働いていた場合、ローンも子供にかかるお金も限界までいっているので、一気に家計が火事になる。

あるいは、共働きの片一方が病気になって2ヶ月ぐらい入院しなくてはいけなくなっとか。
あるいは、年を取った親の介護をしなくてはいけなくなったとか。
あるいは、旦那さんが解雇されて、給料を家庭に入れる事ができなくなり、自信をなくしてガールフレンドを作ったため離婚したとか。その場合も養育費は払わないといけないので、その元旦那さんは結構大変な境遇になったりする。奥さんも大変だけれど。要点は、誰にでも起きるような普通の出来事なのである。

そして、ローンの支払いが滞ったところにローン会社の人が来て、二つ目のローンを組ませたりする(!) 収入が無くなった分をクレジットカード支払い、支払いが滞って、取り立て屋が電話を毎日かけてくる。クレジットカードでついでの話がでていたが、お店所属のクレジットカードには、お店で購入した品物の値段を全部払わないと品物をお店が取り返しにくるシステムがあるらしい。例えばどこかのお店でお店所属のクレジットカードで冷蔵庫かって、ローンを払えなかったら、店が冷蔵庫を取りにくる。お店は冷蔵庫を中古で売るわけではない。その場合大抵店側が脅すと大抵のお客は品物の料金をちゃんと払うらしい。クレジットカードの利子もあるしということで、ある某チェーン店の利益は品物の売り上げではなく、お店所属のクレジットカードからだったのであった。。。。

それでもお母さんは「子供のために」家をキープしようとする。だが、にっちもさっちも行かなくなって、破産申請をする。ちなみ破産申請はしたあと7年ぐらい申請もう一度できないので、タイミング間違えるとそれはそれで大変らしい。全部チャラではないらしい。

ということで、著者のいうところの対策。
1.1人分の収入以内に必要経費を抑えることができるか。つまり、共稼ぎの1人がいきなり収入無しになった場合に生き残れるか。この場合の必要経費は、家のローンあるいは家賃、食費、子供の養育費(デイケアとか大学いくための貯金とか)である。この前この母娘の家計の提案に、The 50/30/20 budget fixというのがあった。必要経費は50%に抑えると書いてあって、どうして?と思っていたが、なるほどなのであった。20%を貯金にして、あとの30%はどこかにバケーションに行こうが、高級品を買おうが、レストランで豪華なディナーをしようが、ちっともかまわないそうである。この30%はイザという時の余力ってことですな。

2.緊急資金の確保 6ヶ月分とか書いてあったとおもうけど、最近は1年分のはず。

3.disability insuranceとか保険の確保。保険をなめちゃいけません。

4.どれが家族にとって一番大切な出費か、家族で決める。

5.あえて子供を持たない選択もあり!!!!

ということで、お母さんのほうは上院議員になったし、どうなるのか、私もCheeさんともに興味津々である。

今日の教訓 読んでて、めげるわ。でも読む価値あり。ふー。

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