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「証券優遇税制廃止と租税条約とForeign Tax Creditの関係」について

配当金(ゲスト)

証券優遇税制廃止と租税条約とForeign Tax Creditの関係に関する投稿です。
いつも有益な情報をありがとうございます。本件の投稿、とても興味深く拝見しました。といいますのも、当方アメリカ在住(グリーンカード)ですが、日本にいくつかの株を所有し配当金も受け取っており、当事者ネタのためでした。2014年から配当金への税率が変わって15%以上になった…というのは自分でも気づいておりましたが、日本で課税されたものは全額Foreing Tax Creditで相殺できると思っていましたので、(多少の例外はあるにせよ)上限が10%、という貴殿の記事お読んでおよよよよ~と思った次第です。
確定申告は、在米の日系会計事務所に毎年お願いしているので、今回も依頼書の提出と一緒に、さっそく本件についても質問してみました(10%を超えた分は二重課税になるのですよね?という内容で)。会計事務所からの回答は「10%というルールは特にありません」ので、全額控除できるとのことでした。
二重課税を避けるための手段はおいおい別途考えよう…と思っていたのですが、そもそも「全額控除できますよ」とのプロからの回答がきたので、頭が混乱してしまいました。
私が何か根本的に間違った理解をしていますでしょうか???
リンクしていただいた租税条約も目を通しましたが、私が「多少の例外」に該当する気配はありませんでした(もっとも、文章がわかりにくくて100%理解できている自身はありませんが)。
お時間があるときにアドバイスいただけると助かります。

jinmei 2015/03/16(月) - 16:03

Foreign Tax Creditとの関係でいうと、以下の2つの点が問題になります:

  • アメリカ居住者が日本で保有している日本株の配当については、租税条約上日本では10%を超えては課税されない
  • Foreign Tax Creditを申請できるのは租税条約上の上限まで

「10%というルールは特にありません」という返答からすると、その会計事務所の方は、第一の点が間違いだとおっしゃっているということでしょうか?この部分については、私自身もつい最近日本の証券会社や税務署に問い合わせて確認しましたので、個別の例外を別にすれば正しい情報だと思っています。(例外的なケースは大株主などのかなり特殊事情の場合なので、普通の個人が少量保持している上場会社の株式というようなよくあるケースなら例外には該当しないと思います)

第二の点については、blogでもリンクしたPub 514の以下の部分を根拠としています:

For example, the United States has tax treaties with many countries allowing U.S. citizens and residents reductions in the rates of tax of those foreign countries. However, some treaty countries require U.S. citizens and residents to pay the tax figured without regard to the lower treaty rates and then claim a refund for the amount by which the tax actually paid is more than the amount of tax figured using the lower treaty rate. The qualified foreign tax is the amount figured using the lower treaty rate and not the amount actually paid, because the excess tax is refundable.

これを日本で保有する日本株の配当への税金にあてはめて、FTCを申請できるのは10%分までとする解釈については、IRSやCPAのようなプロに確認してはいませんので、もしかしたら私の理解が間違っているのかもしれません。上記の引用箇所自体はほぼ他の解釈の余地がないくらい明確に書かれているように私には読めますが…。もしできましたら、具体的な根拠も含めた以上の点をその会計事務所の方に再度おたずねになって、どの部分が誤解なのかをお教えいただけると嬉しいです。

配当金(ゲスト) 2015/03/19(木) - 15:43

会計事務所からの回答は、jimmeiさんのいう「第二の点」は適用されない、ということだと思います。
少々背景を追記しますと、「第一の点」については、私の株を取り扱っている日本の証券会社には私がアメリカ居住者であるという登録をしていませんので、一般の日本在住の方同様2014年から15%超の税金がすでに引かれています。アメリカ居住者になってから株を相続したのですが、該証券会社では海外居住者が新規のアカウントを持つことができなかったため、便宜上日本在住の母の名義になっているためです(この理由から、jinmeiさんが挙げてくださった二重課税を防ぐ方法は、私には適用できないかなとも思っています⇒まだ勉強中ですが)。会計事務所の担当者は、この私の状況を知っているので、すでに15%超を課税されている私に「第一の点」を指摘したとは思えません。

ご参考までに、会計事務所からの回答をそのまま引用します。
【引用開始】ご質問の件ですが、Foreign tax creditでは米国外(配当金(私)様の
場合は日本ですね)で課税された金額を税額控除の対象と
します。10%が上限というルールは特にありません。
計算の過程で、制限がかかることはありますが、
配当金(私)様のご収入やそれにかかる米国での税額が昨年と
同程度であれば、配当にかかる税額は全額控除できるものと
思われます。【引用終わり】

私のここまでの理解が正しければ、会計事務所側は「第二の点」の上限はなし、と言っていることになりますでしょうか。
jinmeiさんがあげてくれた「第二の点」が適用されないのかどうか、会計事務所に確認しようと思いますが、ここまでの私の解釈が見当違いではないかどうか、一度アドバイスいただけると助かります。お手数をおかけいたします。

ちなみに、私のケースは大株主などの特殊の例ではなく、個人が少量所有している上場会社の株式です。

jinmei 2015/03/19(木) - 16:14

一般の日本在住の方同様2014年から15%超の税金がすでに引かれています。アメリカ居住者になってから株を相続したのですが、該証券会社では海外居住者が新規のアカウントを持つことができなかったため、便宜上日本在住の母の名義になっているためです

(あまりここでの本質ではないですが、とすると、住民税も含めて20%超の税金を引かれているということでしょうか?)

上記からすると、同じ所得(株の配当)に対して、日本ではそれを得ているのが日本(のみ)の居住者(=お母様)として処理されていて、アメリカではアメリカ居住者(=配当金さん)が得ているとして課税されている状況ということでしょうか。もしそうだとするとかなり特殊な事情になると思われるので、私の理解に基づく原則論が適用されるのかわからないですね。そもそも、私の挙げたの第二の点の制限以前に、これだとPub 514の"Tax Must Be Imposed on You"の原則にも反しているように思えるので、10%までどころか1円もFTCを請求できないということすら考えられます。

それとも、窓口になっている口座の名義人が違うだけで、株の名義人は配当金さんご本人なのでしょうか?こういう状態が制度上あり得るのかわかりませんが、もしそういう状況であれば、配当の支払い者である該当株の発行会社(実質的にはおそらくそれを保管している信託銀行)が非居住者対応をすることになるので、そちらにしかるべき届け出をすれば証券会社の口座の持ち主はそのままで軽減税率を受けられるような気はします。

「会計事務所からの回答」については、これを読むだけだと租税条約のことがどの程度伝わっているのかがわからないので、第一or第二の点のどちらを指しているのかちょっとわからないですね。租税条約の10条のことを挙げて質問した上でこの回答だったのでしょうか?

なお、逆向きのケース(日本在住者が得た海外の株式の配当に対する外国税額控除を受けようとする場合)ですが、少し検索したらこんなページ見つかりました。私がblogで書いたのはこれと同じことです。もちろん日米はそれぞれ独自の税制を持っているので、同じことが両国で同等に成り立つとは限りませんが、ご参考までに。

配当金(ゲスト) 2015/03/20(金) - 16:48

本質ではない部分からの回答をまず。2014年は、所得税15.315%と住民税5%の両方が引かれています。改めて書くと、重いですね…

私は自分のケースと、会計事務所からの回答しか知識がないのでどこまで一般的なのかどうかはわかりませんが、会計事務所からの話では、ほとんどの日本の証券会社は海外居住者が口座を持つことを許可していないので、私のようなケース(便宜上家族等の名前で運用する)というのはよくあることだそうで、書類とお金の流れがきちんと記録されていれば問題ないとのことでした。ですから、私が相続した株は、実際には現在母名義で、母名義の日本の口座に配当金も振り込まれ、配当金が入金されたら母が私の口座にその金額を振り込む、という流れになっています。おっしゃる通り、アメリカではアメリカ居住者である私が得ているとして課税していることになります。これは相続をした4年前から毎年やっていることですが、問題視されたことは一度もないので(複数のCPAがいる会計事務所です)安心していましたが。冷静に考えれば、そんなのOKなの?と思わないではないですが、問題ないという会計事務所の言葉を信じたいです、笑。

会計事務所に、今いちど具体的に租税条約10条をあげて質問してみようと思います。新情報がありましたらご報告いたします。いろいろ勉強になるご指摘、ありがとうございます。

jinmei 2015/03/21(土) - 02:11

以下は完全な素人の生兵法で、むしろ私自身の興味と勉強のためのコメントです。また、blogに書いた私の理解は一般的なケースでは正しいものと仮定しています。

私が相続した株は、実際には現在母名義で、母名義の日本の口座に配当金も振り込まれ、配当金が入金されたら母が私の口座にその金額を振り込む、という流れになっています。おっしゃる通り、アメリカではアメリカ居住者である私が得ているとして課税していることになります。

ということは、アメリカの税務的に言えば、配当金さんのお母様がnomineeにあたるということでしょうか。nominee自身がアメリカ居住者であれば、nomineeはその配当を報告はするけど課税はされず、本来の受取人に対して1099-DIVを発行し、その受取人が証券会社から1099-DIVを受け取ったのと同等に報告・納税する、というのが正式な手続きのようです。ただこの場合はnomineeに該当する人がアメリカの税務の外にいて、さらに租税条約とかforeign tax creditも関わってくるから、既存の資料に書いてあるような内容からだけではどう考えればいいのかわからないですね。

もし、日本の税制にも上記と同等の仕組みがあるなら、nomineeに課税されるのではなく、実質的な保有者に納税義務があるという手続きを取った上で、その実質納税者がアメリカ在住ということで租税条約上の軽減税率を受け、さらにその分をforeign tax creditとして取り戻す、という形であれば(実務上こういう手続きが現実的かはともかく私の理解的には)すっきりします。

一方、もし日本では形式上であれ名義人が納税するしかないとすると、当然軽減税率を受ける余地はないですから、20.315%の税率になるのは避けられません。この場合の私の疑問は、アメリカの税務的に実質的な配当の受取人となっている人が、それを根拠としてこの全額をFTCとして申請できるのかということです。名義人が日本の居住者になっているという事情は、日本の税法上の制限ではなく、単に証券会社の商慣行の都合に過ぎないわけですから、IRSの立場から見るとそれが理由でアメリカ側での実質課税額が減るというのは受け入れられないのではないかという気がします。私がIRSの立場の人間なら、「日本で多く徴収されているのは納税者の個人的な都合なのだから、日本でしかるべき手続きを取って軽減税率を受けるか、二重課税を受け入れるかのどちらかを選んでもらうしかない」と言いたくなるところです。

ただ、日米間にまたがる税務に精通したプロが、諸制度もすべて承知のうえで大丈夫だと言っているのであれば、私がblogに書いた内容のどこか、または以上の私の考えのどこかに間違いがあって、実務上このようなケースでは日本での徴収額全体をFTCで申請できることになっている可能性の方が高いのでしょう。その場合は、個人的な興味として具体的にどこが違っているのか知りたいですし、これが日本での名義人と実質所有者がずれているケースに限定されるのか、そうでない一般のケースでも適用されるのか、もし後者なら租税条約10条の軽減税率は適用されないのか、さらにもし適用されるならPub 514の引用箇所の制限はなぜ適用されないのか、といったあたりもわかると嬉しいです。

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