投資である条件
「投資とは何か?」というと、かなり漠然としたイメージしかないのではないでしょうか?人によって違うとは思いますが、ここでは投資を次のように考えたいと思います。
- 投資の結果によるリターンが望めるもの
- 長期的な計画に組み入れ可能であるもの
- 元本の保証が必ずしもないもの
投資は資金を投資先に預け、将来のある時点で投資した資金よりも多くの金額が投資家に戻ってくることを期待するものです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、この一番大切なことを忘れると、投資だと思っていたものが単なる浪費になってしまうかもしれません。良くある間違いが(仮にリターンがなくても)「
節税になる」というものです。節税というのは納める税金があってのこと。普通は税金は何らかの収入あるいは利益に掛かるわけですから、利益がない(=リターンがない)ところに税金を議論しても意味がないわけです。節税することが悪いわけではありませんが、それが投資の目的になってはならない、ということです。節税は家計全体の中で戦略的に考えてください(詳しくは
税金のページを)。
ある投資が適切なものかどうかを判断する時に、「長期的な計画に組み入れ可能である」かどうかを条件の1つにすると良いでしょう。極端な例でいえば「宝くじ」が投資対象であったとします。さて、これは投資と言えるでしょうか?当たればリターンは望めるし、元本の保証はないわけですから、投資と似たような性質を持っていると言えます
*1。ところが、宝くじが当たった場合、その当たったお金を宝くじに再投資し、これをずっと繰り返したとします。さて、どうなるでしょうか?宝くじは実際に賞金として還元されるのは必ず元本以下です。つまり、宝くじを繰り返し買えば買うほど、
リターンが減っていくことが確実なわけです。そのため、長期に宝くじに「投資」するのはナンセンスです
*2。投資は長期にわたって資金を運用した時、リターンがどんどん増えていく状態でなければなりません。
元本の保証がないというのは投資の性質と言うより、貯蓄と区別するための条件と言ったほうが良いかもしれません。元本保証の金融商品が投資でない、という訳ではないのですが、実際に市場にある投資対象は元本の保証があるものはほとんどないですし、元本保証があるものは投資のように思えても、単なる「貯蓄」でしかないわけです。
元本の保証がないということはつまり、投資は単なる貯蓄よりも大きなリターンを期待し、その代りリスクを取る、とも言えます。リスクは通常、リターンが変動する可能性のある範囲で考えます。例えば過去5年間の
平均リターンがともに5%だった金融商品AとBを考えます。Aは平均は5%でしたが、1年ごとに見ると-15%の年や+20%の年がありました。金融商品Bは毎年の変動が少なく、最低は4%、最高は7%だったとします。この場合、同じ5年間の平均ではリターンは同じになりますが、商品Aの方が変動幅が大きく、商品Bの方が安定しています。この場合、一般的には商品Aの方がリスクが高い、と考えます。
投資の目的
投資の目的ですって?そんなのお金儲けに決まってるじゃないですか!と思った人はもう少し先まで考えて見てください。お金を儲けて、そのお金でどうするのですか?いくら儲ければいいのですか?お金が増えて、じゃあ、それで何を買いますか?
投資の目的とは、リターンが返ってきたとき、そのお金で何をするか、ということです。例えば5年後に家を買う予定があり、その資金を増やしたいとしましょう。その場合、目的は「住宅資金を確実に増やす」ということになるでしょう。「老後の生活資金を貯めておく」「大学の学費にする」「儲かったお金でバケーションに行く」なども投資の目的になり得るでしょう。目的をはっきりさせれば、それをどうやって運用するかの指針ができます。
投資の目標と計画
投資の目的がはっきりしたら、目標と計画を立てます。
投資の目標とは、その目的を達成するためのゴール設定です。住宅資金の例でいえば、「3万ドル貯める」などという具体的な数字が目標になります。また、老後の資金などかなり先の目標である場合、具体的な数字が決めにくければ「毎月$100貯めて、それを平均5%で運用する」というのが目標になるかもしれません。いずれにせよ、目標は、1.目的に合っている事、2.測定可能であること、3.現実的であること、が必要になります。
目標が決まったら、それを軸にして計画を立てます。3万ドルを5年間で貯めることにして、平均5%のリターンで運用した場合、毎月$440を積み立てる事になります
*3。さらに細かい計画も立てておきます。例えば平均のリターンが5%を下回ったときはどうするか。どうしても家を買うのであれば3万ドルよりも低い資金で買えるように価格の安い家を探す必要がありますし、どうしても最初の目標で決めた3万ドルを用意してから買いたい場合は、もう少し長い期間、積み立てる必要があるでしょう。また、住宅資金ですから5年間と言うスパンで目減りするような投資では困ります。どの程度のリスクを受け入れるられるか、と言うのも決めておきましょう。
ツールとしての投資
上記のように、投資の目的をはっきりさせ、計画を立てれば、投資が
自分たちの生活を豊かにするためのツールであるということがお分かりいただけると思います。
投資は車みたいなものです。車は自分たちの行動範囲を広げて生活を豊かにしてくれます(ただし、リスクもあります)。目的地まで歩いていくより、速くそこに到達できる「ツール」です。賢く使って安全運転で行けば旅は楽しく、目的地に着いたときに大いに楽しめるでしょう。逆に交通ルールも知らず、あるいは守らず、無謀に速く行こうとしても危険なだけです。事故がないとは誰も保証できません。だからこそ、気をつけるわけです。投資も同じ事ですので、安全に運転するために、操作方法をしっかり覚え、周りの状況をしっかり把握して、自分の道を誤らない事が大切です。