銀行の位置付け
日本でもアメリカでも、普通に生活するために銀行口座は無くてはならない存在です。しかし、いつでも銀行を使えばいいとは限りません。銀行口座には、得意なところと不得意なところがありますから、私たちに有利になるところだけを賢く使いましょう。
なぜ銀行口座が必要か?
給与の振込先として、小切手での支払いのため、いつでも使えるように緊急資金を預けておくなどが考えられるでしょう。では、普段使う生活費+緊急資金以上のお金があったらどうするでしょう?利息がSavingsよりも有利なCDにする?私の考えではそれは勿体無いと思います。銀行以外にも安全で利率が良い運用先はありますから。つまり、銀行口座は、1.普段の生活に必要なお金を使うため、2.緊急資金を預けておくための2点に絞られるでしょう。銀行口座は必要ですが、それが運用先の全てであると考える必要はない訳です。
Debitカード
日本でも普及が始まったようですが、アメリカではほとんどの銀行ATMカードはDebitカードの機能も備えています。アメリカでは「小切手を切るのと同じで、しかも簡単」という説明の仕方をしています。Debitカードで買い物をすると、即座に銀行口座から使ったお金が引かれます。クレジットカードは毎月まとめて払うまでお金は引かれませんから、そこがDebitとCreditカードの違いです。
ところが、DebitカードにもVISAとかMasterとかのロゴが入っています。つまり、 あたかもクレジットカードのように使えるのです。お店側としてはクレジットカードの機械がそのまま使えて、お客側としては現金や小切手と同じ感覚で使えるわけです。注意としてはDebitはあくまで小切手の即時決済と同じなので、使うときに購入金額以上の残高がChecking Account に残ってないといけません。残高不足だと使えないわけです
*1。Debitカードは先にお金を預けている訳ですから、クレジットカードのように事前審査がありません。大抵は口座を開いたら自動的にDebit機能付のATMカード(それをDebitカードと呼ぶ)をくれますから簡単です。
ただし、Debitカードはあくまで小切手の代わりなので
クレジットヒストリーにはなりません。クレジットヒストリーを作るには、本物のクレジットカードを使う必要があります。
CheckingsとSavings
小切手の支払いはCheckingでないとできませんが、利息は付きません。Savingsは利息はつきますが、支払いは出来ません。そこで、支払いに必要な額だけCheckingに入れておき、残りはSavingsに入れて利息を得て、必要に応じてCheckingにTransferすることになります。アメリカの人のなかには、このCheckingとSavingsの管理に非常に気を使って、Checkingに無駄なお金ができるだけないように細かくTransferをしている人がいます
*2。私はこの方法は余りお奨めしません。確かにCheckingは利息が付きませんが、Savingsの利率がそれほど良い訳ではありません
*3。例えば$1000の支払いを細かく管理して1週間長くSavingsに入れておいたとしても、利息はたったの57セントにしかなりません!(利率=3%として)
また、Checkingを常にぎりぎりに保っていても、もしちょっとした間違いで残高不足になれば、手数料を取られるばかりでなく、小切手が現金化できないと信用も落ちます。DebitカードなどはCheckingからすぐに引かれますから、特に問題になりやすいのです。せっかく利息を稼ごうとやっていても、手数料を取られては意味がありません。
ですから、余裕資金はSavingsに入れておき、支払いなどの資金はある程度まとめてCheckingに入れておいたほうが、安心して使えるし、気苦労が少なくて済みます。
賢い銀行の捉え方
賢く銀行を利用するには銀行を資金運用先として考えるのはやめましょう。銀行の使い方としては、先にも述べたようにあくまでも生活に必要な手段と考えるべきです。
どうして資金運用に向かないのか
銀行のSavingsは他の運用先と比べると利率が低くなっています。また、CDはSavingsより利率は良いものの、引出しに制限があり、必ずしも私たちに有利にはなりません。FDIC
*4加盟の銀行なら$100,000まで預金は保証されます。しかし、そのために低い利率で我慢しなければいけないわけです。銀行はその業務のために多くの支店やATMを備え、設備投資にお金が掛かります。しかも行員の人件費や、広告費など他の運用先に比べて(預金者にとってメリットの無い)費用が掛かります。ですから、あくまで
銀行=サービス業と考えて利用しましょう。
CD(定期預金)のLaddering
Certificates of Depositの説明で触れましたが、アメリカのCD(定期預金)は途中で解約する事ができません。どうしても中途解約する場合はペナルティを払わなければなりません。そのため、いざと言うときのための予備費をCDに預けるのは抵抗があります。
そこで、お金が必要になったときのことも考えて、CDを
Ladder(はしご)型にする方法があります。例えば5年物のCDにすべてを入れてしまうのではなく、1/5ずつ、1年もの、2年もの、3年もの・・・と分けて預け、満期になった分から5年ものにしていきます。すると、貯蓄額全体の1/5は1年毎に引き出し可能になり、お金が必要になったときにはそれを使えば、CDすべてを解約せずに済みます。この方法はもっと短期間、例えば3ヶ月や1ヶ月毎に満期にする事もできます。
この方法は余剰資金を比較的大きな買い物のために取っておく場合などにも有効でしょう。車の買い替え、電化製品や家具の購入など、自分で買うタイミングを決められるものは、CDが満期になったときに買うようにするのです。
緊急時の資金
銀行を資金運用先ではなく、いざと言うときのための
Emergency Fund(緊急時のための資金)を置いておく場所と捉えるのも良いでしょう。現金がすぐに必要になると言う事もまれかとは思いますが、ある程度の額はいつでも使える状態にあれば、安心と言えるでしょう。
フィナンシャルプランナーによってはEmergency Fundを上記のLadderingで運用しておくことを推奨しています。もちろん、1ヶ月や3ヶ月の短い周期でLadderingして、次の満期まで待てれば構いません。しかし、本当に
緊急事態(家計的に、という意味ですが)が発生したのなら、ペナルティを払ってでもCDを解約して対処しなければならないでしょう。緊急な事が無ければ、結局使わないお金なのですから、短い期間で低い利息のCDに繰り返し預けるよりも、ペナルティ覚悟で長めの定期預金(やその他の運用方法)を取り、その分、利息を増やしたほうが良いはずです。もしペナルティが心配なら、ペナルティに相当する金額も追加して運用すれば良いでしょう。
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